相続で使う家系図 — 相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い
最終更新: 2026-08-24
身内が亡くなると、銀行口座の解約、不動産の名義変更(相続登記)、証券や保険の手続など、あちこちで「相続関係のわかる戸籍一式」の提出を求められます。このとき戸籍の束の代わり(または添え物)として使う図が「相続関係説明図」と「法定相続情報一覧図」です。名前が似ていて紛らわしい2つの違いを整理します。
前提: 相続手続に必要な戸籍
どちらの図を作るにも、元になる戸籍が必要です。基本セットは次のとおりです。
- 被相続人(亡くなった方)の、出生から死亡までの連続した戸籍(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- (不動産の相続登記では)被相続人の住民票の除票など
「出生から死亡まで連続して」が肝で、途中の改製原戸籍が抜けていると隠れた相続人(認知した子、前婚の子など)を確認できないため、どの手続でも受け付けてもらえません。取り方は戸籍の記事で解説したとおり、広域交付制度を使うのが近道です。
相続関係説明図 — 自分で作る、戸籍の原本を返してもらうための図
相続関係説明図は、被相続人と相続人の関係を一枚にまとめた図で、様式は自由、誰でも自分で作れます。法的な証明力はありません。
最大の実益は原本還付です。相続登記などで戸籍の束と一緒にこの図を提出すると、戸籍の原本を返してもらえます(図がコピーの代わりを果たすため、戸籍全ページのコピー提出を省けます)。返してもらった原本は次の手続で使い回せるので、戸籍を1セットしか取っていなくても複数の手続を順に回せます。
法定相続情報一覧図 — 法務局が認証する公的な図
法定相続情報一覧図は、2017年5月に始まった法定相続情報証明制度に基づく図です。自分で作った一覧図と戸籍一式を法務局に提出すると、登記官が内容を確認し、認証文つきの写しを無料で必要な枚数交付してくれます。
認証された写しは、多くの銀行・証券会社・保険会社・税務署(相続税申告)・年金の手続で「戸籍の束の代わり」として通用します。写しを複数枚もらっておけば、各機関へ同時並行で手続を進められるのが最大の利点です。手数料は無料で、5年間は写しの再交付も受けられます。
使い分けの目安
- 提出先が1〜2か所だけ — 相続関係説明図で原本還付を受けながら使い回すだけで足ります。
- 提出先が多い・急いでいる — 法定相続情報一覧図を取得して並行処理するのが速い。最初に法務局(または郵送)での申出という一手間はかかります。
- 両方使う — 一覧図を基本にしつつ、対応していない一部の手続や、数次相続など一覧図で表せないケースは説明図で補う、という併用も普通です。
書くときの注意
どちらの図も、載せるのは被相続人と相続人(および続柄の説明に必要な人)だけです。先祖代々の家系図をそのまま流用すると、かえって確認に時間がかかります。氏名・生年月日・続柄は戸籍の記載どおりに書き、法定相続情報一覧図では法務局の記載例(法務局サイトに様式があります)に沿ってください。
なお、この記事は制度の一般的な説明であり、個別の相続手続についての法的助言ではありません。判断に迷う場合は司法書士・弁護士など専門家に相談してください。