家系図データの残し方 — GEDCOMと紙、二段構えのすすめ
最終更新: 2026-08-24
家系図づくりのゴールは「作ること」ではなく「残ること」です。何年もかけて調べた成果が、パソコンの買い替えやサービスの終了、一枚しかない紙の紛失で失われる——実際によくある話です。この記事では、家系図を数十年単位で残すための現実的な方法を説明します。
紙とデジタル、それぞれの弱点
紙の家系図は読むのに何の機材も要らず、100年前の紙が普通に読める実績があります。弱点は、一枚しかないこと(火災・水害・紛失に弱い)と、追記・訂正がしにくいことです。
デジタルデータは複製と更新が容易な反面、「読める形で残り続けるか」に弱点があります。特定のアプリ専用の形式は、そのアプリが終われば開けなくなります。結論はシンプルで、更新はデジタルで行い、節目ごとに紙に印刷して複数箇所に置く。この二段構えが最も確実です。
GEDCOM — 家系図データの共通形式
家系図ソフトの世界には、GEDCOM(ジェドコム)という事実上の標準形式があります。1980年代から使われているテキスト形式で、人物(名前・生没年など)と家族関係(婚姻・親子)を記述します。長年使われてきたのはバージョン5.5.1で、2021年には後継のGEDCOM 7.0も公開されました。
重要なのは、世界中のほとんどの家系図ソフト・サービスがGEDCOMの読み書きに対応していることです。GEDCOMファイルを一つ持っていれば、ソフトを乗り換えても、数十年後に別のツールで開くときも、データを持ち越せる可能性が最も高くなります。
「エクスポートできるか」でツールを選ぶ
家系図アプリやウェブサービスを選ぶとき、機能の多さより先に確認すべきことが一つあります。データを標準形式(GEDCOMなど)でエクスポートできるかです。
どんなに便利なサービスでも、いつかは終わります。エクスポート機能があれば、サービス終了は「引っ越し」で済みますが、なければ成果ごと消えます。当サイトも含め、特定のサービスに家系図を預けるときは、手元にエクスポートしたファイルを定期的に残す習慣をつけてください。
残すのはデータだけではない
系図データと一緒に残してほしいものがあります。
- 出典の記録 — どの事実をどの戸籍・資料で確認したか。これがないと、後の世代は検証も続きの調査もできません。
- 集めた戸籍のコピーやスキャン — 除籍は150年で廃棄されます。手元の写しが将来は唯一の記録になるかもしれません。
- 聞き取りの録音・メモ — 系図に載せなかった逸話にこそ、家の歴史が残ります。
- 写真 — 人物と名前の対応を書き添えておくこと。名前のない古写真は、一世代で誰なのか分からなくなります。
次の世代へ渡す
最後の仕上げは、託す相手を作ることです。完成した家系図を親族に配り、データの保管場所(ファイルの在りか、使ったサービス)を家族に伝えておく。法事や正月など親族が集まる機会に一部ずつ渡しておくだけで、家系図が生き残る確率は大きく上がります。
家系図は一代で完成するものではありません。自分の代の調査を、検証可能な形で次に渡すこと——それが先祖調査のいちばん確実な「保存」です。